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「クラミジア 完全版 (女性編)」




コラム掲載 2017年11月



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クラミジア 完全版 (女性編)

<形態>

先ず、クラミジアは細菌です。クラミジアの増殖の仕方には他の細菌と決定的に異なる点があります。

それは増殖サイクルとでも呼ぶべきもので、これについて説明していきましょう。

クラミジアの構成要素は、大別してEB(elemental body)とRB(reticular body)が主ですが、クラミジアに感染すると、EB(こいつが感染力を持っている)が人間の粘膜細胞内に侵入し、(侵入と言っても細胞側の食菌作用によって細胞内に取り込んでもらえるのです)ある程度の時間を経てRBに変体していきます。RBには感染力がなく、また細胞内に留まり続けるため、クラミジアの感染が広がることは有りません。では、その時点で抗菌剤を投与してRBの動きを止められれば、クラミジアの感染拡大は防げるのでしょうか?答えはNOです。EBは半分以上が素直にRBに変質するのではなく aberrant form という形態をとるのですが、こいつには抗生剤が効かないのです。

 ですから、抗生剤で少しのEBを叩いても、abberant formを経てRBに増殖を繰り返すクラミジアの息の根は止められません。そして今度は、逆の現象、つまり、RBからEBへの変体が起こります。

今回も、直接EB に変態を遂げるのではなくIF(intermediate form)という形態を傘に抗生剤の攻撃をかわしながどんどん増殖を繰り返し、ついには細胞内ははち切れんばかりのEBでしめられることになり、ついには細胞崩壊を引き起こしそこらじゅうの粘膜細胞に取り込まれて、どんどんクラミジアの仲間を鼠算式に増やしていくのです。まあ、性行為の直後に、、ほとんど無症状の状態でクラミジアに感染したかもと考えて抗生剤を飲み始める人も少ないわけですしね。

<症状>

 日本で一番多い女性♀の性感染症は、そう、クラミジアです。二番目は淋病ですね。定番です。

クラミジアはもちろん性行為によってしか感染しません。そして困ったことに症状が出にくいというやっかいな性質を持っています。まあ、性器からの不正出血、性交痛、漿液性のオリモノの増加(たまに膀胱炎症状もあるようですが、これはクラミジアが膀胱内に侵入したわけではありません、絶対に)程度ですね。ここで声を大にして言いたいのは、淋菌、クラミジアに関しては検査も治療も全て保険でクリアできますよ。

1)子宮頸管炎

まず無症状でしょう。あるとしても軽い不正出血、織物の増加、性交時の痛みくらいです。

2)子宮付属器炎

 最初にクラミジア性子宮内膜炎を経て(これも無症状が多いです)、クラミジア性卵管炎を起こしますね。クラミジアには、奥へ奥へと進む習性があります。卵管炎も一度きりなら、症状は出ないか軽い腹痛程度で、組織的にも問題は無いでしょう。しかし反復感染を繰り返すと無症状の確率は減り、腹痛の出現が多くなります。組織的にも、卵管狭窄や卵管の蠕動運動が無くなっていき、卵子が卵管でつっかえれば卵子は子宮に到達できず、不妊症、卵管妊娠を引き起こします。卵管妊娠を起こせば当然痛みは徐々に強くなり、卵管切除となれば、そちら側の卵巣からの排卵は無駄に終わりますし、その頃には反対側の卵管もかなりダメージを受けているはずですから、妊娠の確率はかなり低くなっているでしょう。

3)骨盤腹膜炎

 卵管を素通りしたクラミジアは当然骨盤底で炎症を起こし、腹痛を伴ってきます。放置すれば、子宮、膀胱、卵管、果ては腹膜や腸管の癒着まで引き起こし、閉経まで強い生理痛に生涯悩まされることにも成りかねません。もっと怖いのは、腹腔内における卵子の卵管への入り口である卵管采の完全閉塞で、卵管采膿腫や卵管采水腫を引き起こせばかなりの痛みを伴いますから、救急病院で急性腹症(原因不明)と診断されて開腹手術になってしまった例は現実に多数例存在しますし、この時点で通常の妊娠の可能性はほぼ完全に絶たれてしまいます。

4)肝周囲炎

 骨盤腹膜炎が上行性に進んだもので、突然の右上側腹部激痛が主訴となる場合がほとんどです。

 深呼吸時の疼痛増強や右側腹部の強い圧痛、強度の炎症が故の発熱や血液DATA異常etcなどだけでその場の救急医が正確な判断を下せるだろうか。当然、下腹部を触診すれば圧痛を認めるはずだし(骨盤腹膜炎がBASEにあるから)。

 肝臓と腹壁の炎症性癒着を示すMurphy兆候なども冷静に診ることができれば診断は可能かもしれないが、よもやクラミジア感染から来ているとは僕には判断出来る自信がないな。下手をしたら命にだって関わる状況に陥っているとは、本人自身も、知る由もないだろう。

 5)尿道症候群

 細菌尿を認めないのに、膀胱炎症状を呈するものもある。原因ははっきり言って不明だが、クラミジアが膀胱内に入り込むとはまず考えられないから、尿道そのものの炎症性刺激なのだろうか。正確な解明は未だ成されていません。

 6)咽頭クラミジア

 性病に属する細菌は淋菌、マイコプラズマを問わず粘膜であれば取り付くわけだから、Oral sexが当然の今日、咽頭にクラミジアが取り付くのは当然の成り行きです。下手したら、性器感染並みに咽頭感染者が存在するのではなかろうか?咽頭クラミジアもその他の性病による咽頭感染もほとんど無症状なんです。だから、疑わしいと思ったら検査してみるしかないのが現状です。ここで、断っておきますが、咽頭淋菌、咽頭クラミジアの検査、治療は同時にできますし、保険適用ですよ。

 話がずれるけれども、もともとクラミジアはクラミジア.トラコマーチスと呼ばれる眼瞼結膜の感染症の主役だったんだよ。いわゆる、眼科でいうトラコーマってやつね。当時はトラコーマ発症者が出たら学級閉鎖くらいの騒ぎだったもの。それが今では、性病の主役ですからね、隔世の感、大有りだよ。

 あ、それと咽頭クラミジアの方が性器クラミジアよりも抗生剤の効きは少し落ちますが、最悪でも二週間半あれば、絶対に治せます。もちろん、一切、飲酒なし、SEXなしの条件でね。

<検査>

 (PCR,SDA法)現在は遺伝子診断法が完全に主流です。確実でしかも結果が早く出るのだから。PCR法、SDA法が双璧だが、SDAの方が少し上をいく。SDA法なら、初尿をCHECKするだけで確実にクラミジアを捉えられます。最大のMERITは、例の診察台の上で大股開きのポーズを取らなくたっていいことじゃないですか?

 但し、この遺伝子検査法にも欠点が無いわけではない。感度が良すぎるために、治療後、死んだ菌のDNA(要するに遺伝子の一部だよ)を拾ってしまい偽陽性に出る可能性があり得るということ。そのため、治療後、10日以上空けてから、検査するべし、とね。冗談だろ。彼氏は、まだかまだかと待っている飢えた狼みたいなもんだろ。あなた自身だって、彼氏と一刻も早く抱かれたいはずでしょう。無理な相談だと、僕は思います。ですから、二週間きっちり治療した後、すぐに検査しますが、陽性が出た例は極めて稀です。

 雑菌を調べるときに使う培養法は、検出感度が低すぎて話になりません。保健所で無料でやってくれる(原価が安いし同時にHIV、梅毒の検査もできるからね)クラミジア血液検査は、患者さん本人、解っていない医者にも混乱を与えるので、ちょっとね。

 クラミジアの血液検査は、抗体検査であって病原体そのものの検査ではない。大事なのは、一度感染すると終生抗体が陽性に出る確率がかなり高いということ。現状、クラミジアに感染していないにもかかわらず、だ。大勢の女性を無料で検査できるという点では、確かに必要かもしれないが、診療所では行うべきではありません。あまり、言いたくないが、抗体価が陰性価しないのを良いことに抗生剤投与を数カ月にわたって行われた患者さんも少なからず見かけるのが現実だから。

<治療>

 抗生剤の内服で確実に治せます。(骨盤腹膜炎以上の例では、点滴を要する例も多いが)最初に、クラミジアの形態で述べた通り、クラミジアには増殖サイクルが存在し、その1サイクルの一定期間だけ抗生剤が効くと言われている。クラミジアを完全に殺すにはそれを4回ほど繰り返す必要があるとも言われており、1サイクル3日ほどですから合計最低12日間、まあ約2週間内服すればOKということです。広く使われているアジスロ…….は、かなりクラミジアに対して有効であり 一回飲むだけでOK が、売りの抗菌剤だが、こいつは一回飲めば7〜9日間くらい血中濃度を維持できるためクラミジアを殺せるのであって、一回飲めば翌日から酒を飲もうがSEXしようが構わないというわけではない。その間は、禁酒、禁SEXが出来て初めてアジスロ…..の効果が発揮されるのだ。飲んで4〜5日経って、いつアジスロ………...を飲んだか、正確に覚えていますか?10日間、禁欲、禁酒が守れますか?処方時の医者サイドのきちんとした説明がなされているとは限らず、患者サイドも「もう、良っかあ」みたいな状態では効くはずのものも効かない。人間、誰しもそんなに意思が強いとは思えないし……毎日内服していれば、「ああ、今治療中なんだ」という意識が働くのでは?それともう一つ。アジスロ………..でも100%確実にクラミジアを殺せるわけではないのです。

 薬の効果という点では、咽頭クラミジアの方が性器クラミジアよりも少し効きが劣るのは、周知と思いますが。雑学*性器クラミジアで結膜感染を起こし目が充血している男性患者は時々見かけますが(クラミジアに感染してもほとんど無症状で、男性はおしっこする時手でおちんちんを持つでしょう。それで、手も洗わずにちょっとした弾みで目をこすれば即席クラミジア性結膜炎の出来上がりってわけです。まあ、女性では、見たことは(僕は)ないけれど。

 

 今回書いた文章は、女性のクラミジアに関して、どこに出しても恥ずかしくない、と自負しています(独りよがりか?)。

 最近の女性におけるSTD患者さんの増加率は確実に男性を凌駕しており、一種の警笛とでも言うつもりで書き上げました。

 ご拝読、ありがとうございました。

 

 

えびす皮フ泌尿器科  院長  原口 忠

2017年11月1日 

 

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